05.26.15:22
[PR]
02.25.02:18
円
兄の腕を枕にして眠る山姥切国広が、まどろみながら少しばかり考えたこと、など。
CP色は薄いです。
「火炎は滅であり、生(しょう)であるぞ、兄弟」
「そんなこと、どうでもいい」
刀は炎に舐められて死ぬばかりか、炎に抱かれて産み落とされるのだと、当の自分たちは忘れがちなのではないだろうか、などとつまらないことを考える気になったのは、視線のすぐ先でその息遣いをかすかに伝えて動く、火炎の舌先、生と死の文様をまとった腕を、眺め続けていたからに他ならないのだろう。
貴方の兄上も酔狂な方ですね、と左文字の次男に言われたときには、自分自身でそのことをすっかり忘れていたものだから、彼は一体何を言っているのだろうと怪訝な顔を返してしまったが、思えばあれは明王の火炎を指していたのに違いないと、山姥切国広は今にして気付き、複雑な心境に至ったのである。
話に聞く限りでも、炎のためにおそろしい思いをした刀は少なくないのだ。
刀が火炎を背負うということは、ひょっとしてとてつもなくおそろしいことなのではないかと、山姥切国広はぼんやりと考えてはみたが、頭の下にある太い腕が汗ばんでいることにふと気がついて、どうでもよくなり考えるのをやめた。
なにかが燃えておわり、なにかが燃えてはじまる、それは表裏である。
なあ兄弟よ、ものの生き死には表裏であるぞ……
PR
- トラックバックURLはこちら

