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なまもののさけび

とりあえずつらつらとかきつらねます

05.26.18:24
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  • 05/26/18:24

02.25.02:20
長柄同士


本丸に初めて槍がやって来た日の岩融と長谷部。




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「あれはなんだ」
 櫓から落ちんばかりに身を乗り出した岩融が、興奮気味に言った。
「あれ?」
 長谷部は手を止め、怪訝な顔で岩融を見やった。
「あの長い奴は、なんだ」
 岩融は長谷部の方を見もせずに、もう一度問うた。長谷部は腰を上げ、隣へ立って下を覗きこんだ。
「どれだ」
「あれだ、あの長いやつだ」
 尖り爪の指が差す先には、審神者と、審神者に連れられた見慣れない顔があった。新入りの槍らしい。初めてここにやってきた刀種である。
「名前はともかく……俺には槍に見えるが?」
「やり!」
 ぐわっと一声叫んで、岩融は勢いよく上体を起こした。突然動いた巨体に、櫓が軋む。弾みで後ろへよろけた長谷部であったが、ぐっと踏み止まった。
「やり、というのか、あの長い奴は」
 岩融は手摺がみしみしと音を立てるのにも構わず、再び櫓から身を乗り出した。この期に及んで長谷部を見向きもしない。最近ようやく、これが「新しいおもちゃ」を見つけた岩融の反応だと理解した長谷部だったが、それはさておき、名前も知らないような新入りを見て、何故岩融がこれほど興奮しているのか、どうにもわからない。
「ここに来たのは初めてだが、槍なんて別に珍しいものじゃないだろう」
「俺は初めて見た!」
 弾んだ声でそう返した岩融を、長谷部は思わずまじまじと見た。
「槍を、知らないのか?」
「知らん」
 岩融がようやくこちらを向いた。
「俺の知る戦場には、おらなんだ」
 目を爛々とさせ、舌舐めずりでもしそうな表情である。
 言われてみれば、岩融が槍を知らないのも無理はない。戦国乱世はいざ知らず、源平合戦の時代には、まだ登場していない武器なのだ。ここに来てから出陣した先でも、そういえば槍にはついぞお目にかかっていない。
「やり、というのか。やり」
 岩融は三度櫓から身を乗り出して、熱心に下を覗きこみながら、至極嬉しげに「やり」を幾度か復唱した。長谷部の事など、もはや眼中にないといった様子だ。
 やれやれと小さく嘆息し、長谷部もまた下を覗きこんだ。審神者に連れられた槍が、他の刀たちに囲まれているのが見えた。人の良さそうな、飾り気のない容貌だ。よもや、九百九十九本狩りを成した凶暴な薙刀から、目をつけられているなどとは思うまい。
 あれは今後苦労するな、と他人事ながら考えつつ、長谷部はやりかけていた備品の整理に戻った。堪え切れなくなった岩融がそこから下へ飛び下りるのは、時間の問題だろう。

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