05.28.07:34
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10.25.04:26
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「ずばり聞くが、お前さん、天下が欲しいか」
星の海を眺めながら、黒田が言った。
「It's no wonder. 当然だ」
政宗もまた、星の海を眺めながら答えた。
「天下を取ったら、その後はどうするんだ」
「誰もが明日を掴めるような世を創る。倒れても必ず立ち上がれるような世を」
「そいつは立派だ」
黒田は顔こそ上を向いているが、その視線がどこに注がれているのかはわからない。星の海のどこを見ているのか、あるいは別の何かが見えているのか。
「アンタはどうだ、黒田官兵衛。腹の底を見せやがらねえアンタの考え、オレもいくらか興味がある」
政宗の視線は、宙空の一点に固定されたまま動かない。蒼く澄んだ隻眼に、星々の一粒一粒が映り込んでいる。一呼吸おいて、黒田が口を開いた。
「小生も天下は欲しい」
わかりきった答えではある。なにせ豊臣にありながらも天下を狙うような男だ。政宗もそれを承知している。だからこうして、この男がここに立っているのだろうということも。政宗が知りたいのはその先だった。天下を統べた後に、この男は何を目指すのか。
「しかしな、取ったあとにどう治めるかということには……正直、あまり興味がない」
「……Hum?」
瞳の上を、星屑が滑っていった。
「お前さんや、そうさな……権現、秀吉のように、統べた天下を動かしてどうこうしたいというわけじゃあないんだな」
「上に立つことに……興味がねえのか?」
いつの間にか、政宗の視線は宙空を離れて黒田に注がれていた。
「いや。誰かの下についているよりは、上に立ってる方がマシだ。ずっとな」
それは確かだ、と自分自身に念を押すように、黒田は呟いた。
「ただ、何と言うか……天下を欲しがる奴ってのは、あの手この手を尽くして天下を取ろうとするだろ? それは小生も、やりがいがある。絶対諦めん、とも思う。だが、取り終わってしまった後はどうするか……」
「……オレはあんたのそれが聞きたいんだがな」
「ああ、わかってるさ。しかしな、独眼竜。そいつは、小生にゃ要らんものなんだ」
政宗は黒田の言うことを上手く飲みこめていないのか、意見を差し挟むでもなく、顎に手を当てて聞いている。
「小生はな、次に何をしようかと考えて、それを行動に移すのが楽しくてね」
じゃら、と鎖が鳴る。
「そして、やることはでかけりゃでかいほど、いい」
「だから天下を狙うんだろ? それはもう聞いた。オレが聞いてるのは……」
「独眼竜」
はじめて、黒田の視線が政宗に向いた。
「小生は、天下を取ったらそこで仕舞いだ。先はない。天下を取ったその先……お前さんたちが言うところの平和な世とやらに、天下を取ること以上にでかい何かがあるなら、話は別だが」
黒く、黒く、そして黒い。
自ずと光ることのない色。照らされ光ることのない色。
けれども光の映える色。光を取り込み続ける色。
高い高い夜天の色。深い深い穴底の色。
無限。渦。膨張。
竜の瞳が捉えた、それ。
「……This is terrible」
笑んだ。
「だが……嫌いじゃねぇ」
何故笑んだのか、竜にもそれはわからない。
「Bring it on. 聞いてやろうじゃねえか……アンタの交換条件とやらをな」
「そいつは何よりだ。話のわかる男で助かったよ」
じゃらり、と鎖の音。笑み返す。
「これだから人はやめられん」
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