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なまもののさけび

とりあえずつらつらとかきつらねます

05.31.15:10
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  • 05/31/15:10

01.31.16:12
再録・定期考査戦争 6

チョコレートの謎・解明編。


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その日、スパナの昼食は蒸しパンだった。
朝、購買で売っていたヨモギ蒸しパンなるものの最後の一つを、売り切れる前に買うことに成功したのである。抹茶蒸しパンは食べたことがあったが、ヨモギ蒸しパンは初めてであった。和物好きとして食べておかなければ、と本能的に思ったスパナは迷わず蒸しパンを手に取り、その他にあんパンと鮭のおにぎりと玄米茶を買って購買を出た。
そして、今は昼。
「ん・・・美味い」
職員室の自分の机で、スパナは蒸しパンをもちゃもちゃと食べていた。抹茶と同じような緑色だが、違った味わいがある。所々に甘く煮た小豆が入っているのも気に入った。120円だったが、空腹を満たすには十分なボリュームであった。綺麗に食べ終えると、蒸しパンの底には必ずと言っていいほど付いている薄い紙を畳み、少し屈んで机の横のゴミ箱に捨てた。
「・・・ん」
ふと目を遣った床に四角い何かが落ちているのを見つけた。何となく気になって拾ってみると、チョコレートの箱だった。パッケージには、鳥のようなキャラクター。確か購買に売っていたはずだ。軽く振ってみたが、何の音もしない。どうやら空のようだった。誰かが落としてしまったのだろうか、と思いつつそれもゴミ箱に捨てようとしたその時、
「捨てるな」
「え?」
上から聞こえた声に思わず頭を上げた。その拍子に、机の縁に軽く頭をぶつけた。
「痛っ。・・・捨てるなって?」
何でまた、と声の主に問う。
「それを探していた」
「空箱を?」
「箱本体に用はない」
「はぁ」
「返してもらえるか」
「ああ、はい」
よくわからなかったが、とりあえず相手に箱を渡すスパナ。相手は箱を受け取るとおもむろにふたを開けて、端の部分を手で切り取った。そして切り取ったものはそのままに、箱本体はゴミ箱へ放り込んだ。
「それ、何に使うんだ?」
興味本位で聞いてみると、相手は切り取ったものをスパナに見せた。そこには、小さな銀色の天使のマークが描かれていた。
「これに用がある」
「あ、もしかしてそれ、いくつ集めると何点で、送ると何が貰えるとかそういう・・・」
「おおよそそのようなものだ」
「ふーん、アンタがそんなの集めてるって意外だな」
「俺ではない」
「じゃ、誰かの代わりに集めてるのか」
「そういったところだ」
こう言ったところで、予鈴が鳴った。相手は自分の机の上に置いてあった教科書類とプリントの束を持って、職員室から出て行った。スパナも次は授業である。自分の荷物をまとめると、化学物理室へと急いだ。



「ぶっ」
「そういうことがあってね・・・そんなにおかしかったか?」
口元を押さえて吹き出したグロを見て、スパナが言った。授業も全て終わった放課後、早めに帰った幻騎士を目線で見送ってから、スパナは何気なくことの一部始終を隣のグロに話したのである。しかし実のところ、グロはおかしくて笑ったわけではなく、驚いたのを誤摩化そうとしただけであった。
「結構律儀だから、買う度にちまちま切って集めてんだろうね。何か想像すると物凄い図だな」
「・・・だからあの時も持っていたのか・・・」
「は?」
「いや、何でもない」
「?」
変な奴だな、と思いながらスパナは手元のプリントに目を落とした。この後やるべきことは、テスト問題の最終確認作業である。もし問題に不備があってはいけない。本番中に訂正の連絡などすれば、生徒の迷惑になるのは勿論モチベーションを下げてしまう恐れもある。などということを考えているのかどうかは不明だが、とにかくいまは確認を終わらせることが第一であった。
一方のグロは、ここ数日ずっと気になっていた謎がようやく解けたところだった。幻騎士が自分に渡したあのチョコレート、なぜ持っていたのかと思えば点数集め。好んでああいうものを買う男には見えない(とグロは認識している)ため、(グロにとっては)重大な謎だったのである。しかし、ならば一体誰の代わりに点数を集めているのだろう。結局また別の謎が出てきてしまい、グロはピクリと目元を引き攣らせた。



グロが色々と想像をめぐらせている頃、幻騎士はファーストフード店にいた。普段は来ないが、今日はここに来るだけの事情がある。
「銀が一枚だ」
「こっちは銀が四枚。丁度だな」
「・・・四枚も出たということは、相当な数を買ったということだな」
「それは言うな」
きっぱりと言った金髪の男。ちなみに真実はどうなのかというと、量販店で段ボールごと買ってきたという努力があったのである。
「流石に金は出なかったか・・・二つ出してやりたいところだが、今回は一つだな」
「調べてみたがこのマーク、出る確率は2%だそうだ」
「そりゃ、ポンポン出てたら赤字だろうよ。でもその確率のままでこれが抽選物だったら、絶対誰もやらねーだろうぜ」
「お前はーーー欲しい、と言われたらやるだろう?今回のように」
「・・・まあ、努力はするさ」
小さく笑って言いながら、手元の封筒ーー既に必要事項は記入してあるーーに切り取った五枚のマークを入れて、しっかりと封をした。
「あとはこれをポストに入れて、おしまいだ」
その封筒を、鞄に仕舞う。
「俺は帰るけど、お前は?」
「これを飲み終えたら帰る」
「んん、じゃあな」
ヒラヒラと手を振って、ガンマは帰っていった。後に残された幻騎士は、飲みかけの烏龍茶のストローをくわえると残りを一気に飲み干した。
「・・・」
ガンマの背中を見送りつつ、ふとウィンドウの外を見やると、自転車置き場からこちらに向かってくる人物と目が合った。

そういうことか

と言いたそうな、納得したような笑みを浮かべながら店内に入ってきたスパナとすれ違うようにして、幻騎士は家路に着いた。
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