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なまもののさけび

とりあえずつらつらとかきつらねます

05.31.15:10
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  • 05/31/15:10

01.31.16:03
再録・定期考査戦争 4

古典の先生は不思議ちゃん、でキャラが立っています。



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幻騎士の机は、職員室の二年教員が使用しているブロックの一番端にある。正確には学年主任である雲雀の机が一番端なのだが、人の多い場所を嫌う雲雀は滅多に職員室の机を使わない。そのため、半無人島と化している雲雀の机の隣にある幻騎士の机が、一番端と見なされている。
その一番端の机に座って、幻騎士は一人で昼食を摂っていた。
曲げ輪箱の弁当箱に入ったご飯とおかず。几帳面にも毎日自分で作って持って来る。他にも自分で持ってくる教師はいるが、それでも時々は購買や食堂を利用する。それは例えばテスト期間のような忙しいとき、つまりは今である。テスト期間ですら毎日必ず自分で作って持ってくるのは彼くらいのものだった。
かと思えば、食事を摂っているのかどうかすら判らない人物もいる。
「・・・・」
幻騎士の机の二つ隣に座っている、眼鏡の男。すぐ隣のスパナは購買か食堂にでも行っているらしく留守なので、様子がよく見える。プリントをぺらぺらとめくってはパソコンのディスプレイを見、キーボードを打つ。それを淡々と繰り返している。
幻騎士は口の中に入っていただし巻き卵を飲み込んで、
「昼食は食べないのか」
横を向き、尋ねてみた。
「それどころではない」
眼鏡の男ーーグロ・キシニアは、パソコンから目も離さずにそう言った。
「身体に悪いぞ」
「知らん」
「いつも食べていないだろう」
「貴様には関係ない」
「生物教師が身体に悪いことをしていて良いのか」
「大きなお世話だ」
手袋に包まれた指は、休むことなくキーボードの上を動いている。幻騎士はそれをしばし見つめてから、だし巻き卵をもう一つ口に入れた。よく噛んで、飲み込む。一口にかける時間は少々長いが、黙って黙々と食べているので食べ終えるのはそれほど遅くはない。飯粒の最後の一粒まで綺麗に食べ終えると、幻騎士はもう一度グロの方を見た。グロは、机に置いてあったマグカップの中の紅茶(多分冷めている)を飲んでいるところだった。しかしやはり、固形物は口に入れていないようだった。
「・・・・」
ふと思い出して、幻騎士は机の引き出しを開けた。潰れかけた平たい菓子箱を出すと、軽く振ってみた。音がする。まだいくつか残っていた。
「おい」
「さっきから何度も何度も・・・?!」
目元を引き攣らせているグロを尻目に、その手をぐいと引っ張って菓子箱を握らせた。
「糖分くらい摂った方が良い」
それだけ言って、幻騎士は椅子から立ち上がると古典の教科書とノート、プリント、チョーク入れその他を持って職員室から出て行った。
「・・・・何なんだ、あれは」
あとには、今起きたことが上手く認識できなくてぽかんとしているグロが残された。
「・・・・どうしろというのだ」
グロは、幻騎士が残していった菓子箱をしげしげと見つめ呟いた。胴長短足でくちばしが大きいギョロ目の鳥のキャラクターが書いてある。あいつはこんなものも食べているのかと思いつつ何となくふたを開けて箱を逆さにしてみると、丸くて淡いピンク色のものがころころと手のひらに転がり出て来た。チョコレートだった。
その時、授業開始のチャイムが鳴った。次の時間、グロの受け持っている授業はない。グロは手の上のチョコレートを見、一つ摘んで口に入れた。いちご味だった。
「・・・甘過ぎる」
ブツブツ言いながらも、結局箱に残っていたチョコレートは全てグロの胃袋に収まった。


「へえ、珍しいこともあるものだね」
突然背後から聞こえて来た声に、グロは今食べたばかりのチョコレートを胃からリバースしそうになった。
「君がものを食べているところ、初めて見たよ」
言いながら、隣の机に雲雀が腰掛けた。
「捨てるだろうと思って見てたんだけど、食べたね」
くすくす笑いながら、面白そうにグロを見る雲雀。
「私は見せ物ではない」
「見えたんだから仕方ないでしょ」
「・・・・私に何か用でも?」
「うん、これなんだけどね」
そう言って差し出したのは、試験監督のローテーション表だった。
「自分の受け持ちを確認したら、隣に回しておいて。二年教員全員に回ったら、僕のところに返して。提出はいつもの場所。明後日までに必ず。いいね」
言いたいことを言い終えた雲雀は、さっさと職員室から出て行った。グロは渡された表を見て、自分の順番をメモすると隣のスパナの机の上に表を置いた。そして眼鏡を外してレンズを拭き、かけ直すとまたパソコンに向かった。


チャイムが鳴り、授業を終えた教師達が職員室に戻ってきた。
「・・・あ、これローテーションの?」
机の上に置かれた紙を見て、スパナが言う。
「自分の順番を確認したら、隣に回しておけ」
「了解・・・・はいよ」
カタカタとキーボードを叩くと、スパナは紙を幻騎士に渡した。
「・・・・」
幻騎士は紙に目を通し、内容をメモすると
「食ったのか」
唐突に、グロに問うた。
「貴様が煩いから一応食ってやったぞ」
「口にあったか」
「甘過ぎだ」
「なら、次は違うものにする」
「ああそうして・・・って、待て待てちょっと待て!余計なお世話だと言っただろうが!」
「何の話?」
「チョコレートをーー」
「言うな言うな余計なことを言うなーーっ!!」
「?」
スパナは、わけがわからないとばかりに二人を見た。実際、わけがわからなかった。テスト近いのに平和だなあ、くらいは思ったかもしれない。
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