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なまもののさけび

とりあえずつらつらとかきつらねます

05.29.02:59
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  • 05/29/02:59

10.11.20:18


「……こうして相対するのは、小田原以来ですな」
 干したばかりの盃を置き、どこか念を押すように言う。
「おお、そうよな。まこと久しい。ヒヒッ」
 大谷がわざとらしい声音で答え、小さく肩を揺らした。この男とは小田原以降、今日まで何度も顔を合わせているのが事実だが、両者の間では言外で示し合わせ、外向きには「そういうこと」になっているのだ。
「伊達の件、首尾は滞りないか」
「恙無く」
「なら結構よ」
 盃に酒を注ぎ足してやる。警戒して口をつけないのではと思っていたが、勧めるまでもなく飲んだ。ただ飲んでいるのではなく、ここで自分を殺しても大谷に得はないはずだと踏んで、あえて見せつけるように飲んでいるのに違いない。そう思うと、大谷は心なしか愉快さを感じるのだった。
「さて、手順の話をしなければならぬな」
 絵図を取り出して広げる。
「まずは小田原周辺に待機させている兵の一部を、ぬしらの元へ差し向ける」
「我らがそれに応戦する……無論、戯れる程度に」
「然様、然様。戯れる程度にな。ヒヒッ」
「頃合いを見て、伊達に救援を要請いたします。同時に、そちらへ注進を」
「ひとつ助言をしておけば、アレは野に放つと厄介な軍よ。到着し次第、城内に囲っておけ。何かと理由をつけてな」
 伊達と直接やりあった経験がないのなら、野戦へ持ち込むのは得策ではない。こちらが到着するまで勝手に動かれても困る。なにより一箇所に固めて留めおけば、大谷の手間も省けるというものだ。
「では、そのように」
「後詰も合わせれば、そこそこの兵力にはなる。十分に叩き潰せような」
「念のため、こちらで傭兵も雇い入れてございます」
「傭兵? 雑賀か」
「いえ。新興の集団ですが、雇い賃の割によく働くゆえ、何かと重宝しております」
「然様か。まァ、好きにするがよかろ」
 多少の有象無象が戦力として増えようが、大谷にはさほど関わりのない話である。
「なにはともあれ、ぬしの芝居が肝心要。ぬしがしくじれば水の泡よ。頼りにしてもよいな?」
「大谷殿が兵を差し向けられるまで、気取られぬよう尽くしましょう」
「ならばよい。われも力をあげて伊達を捻ってやるとしよ」
「……お頼み申し上げます」
 芳賀高定は絵図から顔を上げると、深々と頭を下げた。



裏で動く宇都宮勢。

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