05.28.01:21
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09.30.16:34
一万打御礼その1
弾音旋様リクエストの短編です。お待たせした上にかなり不完全燃焼気味で申し訳ございません。お持ち帰りはご本人様のみとさせていただきます。
まどかの橋
虹に終わりがないことを知ったのは、もう随分と昔のことだったように記憶している。
あの、やけに鮮明な色彩を帯びた輪が西の空に張り付いている、そういう奇妙なくらいに現実味のない光景が、ふとした瞬間、瞼の裏側にみえるというようなことがいまだにあって、その度に内心で狼狽するのだが、拭い落してしまおうという気は一向に起こらない。
それは、あの光景をみていたという記憶をそのまま保存しておきたいからという理由かもしれないし、虹の上にぶれて重なる不明瞭ながら存在感のはっきりした残像のような面影をみていたいからという理由かもしれない。
空にかかる果てのない大きな輪。地を繋ぐ長い長い橋ではなく。
瞳の中にあの輪が咲くたびに狼狽するのは、幻像の背中を追う自分の視線を自覚するからだろうか。あの輪から抜け出せないがごとく記憶に囚われていることに罪悪を感じているからだろうか。
いつしか輪の輝きが失せることに恐怖しているからだろうか。
何をいつどうやって考えてみても、やっぱり自分は記憶の中に見える母親の面影をどうにか目視しようと努力してやまなかったし、断片の断片とも言える僅かな記憶に縋り続ける自分を責めるような気持ちも消えなかった。
虹を渡っていきたいと言った。
いつか一緒に渡るのだと、罪のない約束をした。
長い指をした白磁のような手を、離そうとしなかった自分。
もしもいまから追いかけていったら。
しかしそれは赦されないことだと、誰かが自分に言ったのか、自分が勝手に覚えてきたのか、わからないけれど知っていた。
*
「あれも、虹?」
「虹は橋になってるんだと思ってた」
「あれじゃあどこへもいけないよ」
「……」
「そっか」
「繋がってるから、離れてもすぐに会えるんだね」
「一緒に行こう、いつか」
「大丈夫だよ、絶対迷子になったりしないから」
「 」
*
黒い地面に滴ってきた空の群れを一跨ぎする。漣立つ透き通った青色。煽られた枯葉が一枚、舞い落ちて波紋を作った。
顔を上げて、視線を足元の空から真上の空へと移す。ほんものの空は嘘のように澄んだ色をしていて、円い虹は尚更不自然な存在感を増していた。
瞼を閉じて、開く。
円い虹は、まだ消えない。
光の帯をたどって歩いているのであろうあのひとの歩幅を思い出しながら、その隣を歩むがごとく、陽光を照り返す石畳を、ひとあしずつ、踏みしめて。
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素敵な右腕親子をありがとうございます。
思わずニヤニヤしてしまいました。
Re:おおう!
あんまり幼少が絡んでなくて申し訳ない……どうぞこれからも宜しくお願いします。
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