05.26.15:22
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09.09.09:00
十万億土
北京で書いてたやつ。
死ネタ。うちの六道さんはどうも性格が悪い。
西の最果てに何があるか知っていますか、と。
彼が死んだ翌週あたりに突然尋ねられて、山本は危うく骸を殴ってしまうところだった。
「雲雀君にも同じ質問をしたのですが、目障りだと言われてしまいましてね」
君もそう思いますか、と聞かれて山本は答える代わりに身を翻した。
*
あのとき泣いていたのだろうか。山本武は。
ありきたりな想像を好き勝手に、適当にしながら机へ腰掛ける。何の変哲もない事務机。ある程度使いこまれたとも言える、どこにでもありそうなねずみいろの机。その上に走っている細かな傷やインクの染みに指を這わせて、まるでその感触を指先に刻みつけるかのように、縦に横に斜めに、何度も何度も執拗に、ただしゆっくりと、擦った。
指先が汗でつっかえる。
爪の間から血が滲んだ。
自分が珍しく深爪をしていることに骸は気がついた。
*
最近思うのですけれど、と。
血振りを済ませた刃を鞘に納めたその瞬間、右斜め後方から聞こえてきた声は、明後日の方向へ呼びかけているように山本には聞こえた。答えないままで首だけ動かして後ろを向いたら、骸の背中がはんぶん見えた。
「地球に北極と南極はあるのに東極と西極がないのはおかしい、と思うことはいけないのでしょうか」
なんでお前がそんなことを知ってるんだ一体どこできいてきた、と山本は思ったが言わなかった。東極と西極がないのはどうしてなのか。ずっと前に、山本が口にした質問だった。そして言われたのだ、馬鹿かお前はと。
「疑問を持つことは大切ですよね」
頷きたかった。馬鹿な自分を構ってくれていたのだから、「彼」は。
頷きたかったけれど頷かないで、そうかもな、とだけ返して帯刀を解いた。
*
「彼ね、西極にいくって言っていましたよ」
*
ちょっと西極までいってくるわ、と言い残して消えてしまった男がいる。
この十数年間の短い歴史の中で、ふたり。
それを知っているのは、もうひとり。
「……西の果てにはね、極楽があるんですよ」
ねえそうでしょう。貴方がた知っていたんでしょう。
机に腰掛けたまま、骸は微笑みながら目を伏せた。
「……でもねえ、やっぱりこの世に西極なんて」
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