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なまもののさけび

とりあえずつらつらとかきつらねます

05.30.14:17
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  • 05/30/14:17

06.03.22:01
覚え書き



前にぼそぼそ言ってた、山獄で明治大正。

続くかどうか不明ですが冒頭だけ。









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もって生まれた性分だからか、山本は様々のものごとに関してひとよりもずっと楽観的だった。躓いた拍子に下駄の鼻緒が切れてしまったのも、ああ明日は雨でも降るだろうかくらいにしか考えないで、さっさと下駄を脱いでしまうと日本人離れした長細い身体を曲げてそれを拾い上げ、右手でぶら下げてまた歩き出した。手ぬぐいでも破いて使おうかとも考えて腰から引っ張り出したが、どうせもううちへ帰るところなのだからこのまんまだってかまやしないや、と思ってよした。引っ張り出した手ぬぐいは、しばらく歩いてから腰のところへ押し込まれた。
土手のところへやってきたときに、人が座っているのを見つけた。夕焼けの中にぽつんと一人で背中を丸めて川の方を見ているその後ろ姿に見覚えがなかったら、山本は彼を老人だと思ったかもしれない。年に見合わぬ白髪が、空の朱色を映していた。

初めて彼を見たのは二三日前のことで、ここではなく町の裏小路だった。質屋の横へ入ってさらに奥の道を少し行った薄っ暗いところだったように山本は覚えている。質屋の三軒隣に酒屋があって、そこへ行った帰りだった。歩いているうちにだいぶ擦り切れていた鼻緒の具合がふと気になって(今から思えばその時からこうして鼻緒の切れる前兆はあったわけだ)道の脇へ寄って足下を弄くっていたら、丁度その横の道の奥、暗がりの方から人のうごめくような気配を感じた。首を伸ばしてちょっと覗いてみると四五人の男がもつれ合うようにして何事かをやっている。山本にしては珍しくただならぬものを感じて、何をしているんだと声をかけてみたところ、男たちはぎくりとしたようにこちらを見て、それからばらばらと小路の奥へ駆けていった。
そしてあとに、ぺたんと座り込んで壁に寄りかかったまま一人ぽつんと取り残されたのが、彼だった。
大丈夫かと聞いたら、なんでもありませんと些かぶっきらぼうに返して、落ちていた鞄を引っ掴み本を拾って押し込んで、それを抱えて山本の横をすり抜けるようにして行ってしまった。話すどころか碌に顔も見ることが出来なかったが、そのシャツの釦が一つ取れていたのを山本は見逃さなかった。

声をかけようかどうしようか、山本はほとんど迷わなかった。寄っていって、あのあとちゃんと帰れたかと聞くと、彼は弾かれたようにこちらを向いた。その目の色のあおいことを、山本は初めて知った。



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