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なまもののさけび

とりあえずつらつらとかきつらねます

05.30.14:17
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  • 05/30/14:17

05.16.21:01
獄卒


かなり珍しく、沢田さんと六道さんの話。

六道さんばっかり喋ってます。

タイトルはこれですが、獄寺さんは一切出てきません。

六道さんが色々な意味で酷いです。






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「蓮のようになるそうですよ」

さぞ醜いでしょうね、とシニカルな笑みが呟きを零す。極力それを耳に残さないようにと、綱吉はペン先で書類の隅をがりがりと引っ掻いた。どうせ経理の方面の報告だ、数字にミスがなければこれくらいの汚れは問題にはなるまい。
「もっとも、貴方の手法は違っているようですから…貴方の咲かせる花をこの目で拝むことは出来ないようだ」
至極残念といった面持ちで、骸は綱吉の顔を覗き込んだ。こいつは睫毛の先まで皮肉で出来ているんじゃないかと思う程に、瞳を守るためにあるべきその部位は、任務を全うするだけには飽き足らない長さをしていた。マスカラは要らないだろう。いや、そもそも使わないだろうが。

六道骸を——人の部屋に上がり込んできてはいらない話をして去っていくというこの迷惑極まりない男を、勿論綱吉は信頼していないわけではない。が、それとこれとは話が別である。書類の整理をしているときに突然現れて、まさにいま自分が使っている机に腰掛けて「思ったのですが、君は地獄のような人ですね」などとわけのわからないことを唐突に話しだされた人間の気持ちにもなって欲しい、と綱吉は内心思うのである。何もいま来なくても良さそうなものだ。が、それを言ったところでこの意外に饒舌なパイナップル頭(最近は蔓まで生やしている)が大人しく黙るとは到底考えられなかった。沈黙という防御壁を最高強度で張りつつ、これを駆除してくれそうな誰か——確率からすれば友人にして忠実なる右腕である彼——が、ここから数歩で辿り着くなど出来ない観音開きの扉を叩いてくれるのを待っていた。しかし、今日に限って運命は「ジャジャジャジャーン」などと扉を叩かないのである。獄寺があの音楽をBGMに現れたら物凄いだろうな、と完全に思考を脱線させていたら

「鉢特摩、とは赤い蓮の花を指すそうですよ」

聞き慣れない単語に反応した単純な耳が、うっかり骸の話を拾ってしまった。

「地獄に花の名前を付けるとは、先人もなかなか風情があると思いませんか?たとえそれが寒さのあまりに蓮の花のように皮膚が裂け、血を噴き出す罪人の姿だったとしても」

さっきから蓮がなんたらと言っていたのはこういうことだったのかと、話を聞き流しまくっていた綱吉はこのときになってようやく理解したが、理解してしまってからやっぱり聞かなければ良かったと激しく後悔した。そんな光景は絶対に見たくないし、血の吹き出す様子を花にたとえる昔の人間の考えだってわかりたくもなかった。それを風情があるなどと言い切るこいつの意見もさらさら頭に留める気はなかった。それがどのようなものであれ、人が傷つく話など聞きたくなかった。

「それが紅蓮地獄または鉢特摩地獄と呼ばれているもので…」

地獄の話なんか知らないし、聞きたくもなかった。皮肉っぽいのに楽しそうな骸の口調も嫌だった。紳士面してえげつないことを言うあの口は、一体いつ頃形成されたんだろうかと何度考えたか知れない。そしていつまで経っても答えは出ない。きっと一生出ないのだろう。というか、答えが出たとしても何も変わらないのである。

「鉢特摩地獄は八寒地獄のひとつです。こういった、寒さで罪人を責める地獄というのも六道の下にはあるのですよ。貴方が知っている地獄は恐らく八熱地獄でしょう?八熱地獄はご想像の通り、灼熱の炎が罪人を苦しめる地獄ですね。

クフフ…氷と炎、まるで貴方の手のようではないですか」


書類の上を滑っていたペン先が、ざりっと嫌な音を立てて紙に穴をあけた。


「しかし、貴方の場合は罪人を苛むためでなく———」






何も言い返せなかった理由を、綱吉はよく知っていた。



インクのにじんだ書類を机から取り上げくしゃりと丸めて返し、骸は部屋を出て行った。






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